一部の相続人を除外して遺産分割を行った場合の効果

遺産分割は全ての相続人で行わなければならず、一人でも欠けていれば、その遺産分割は全て無効となります。

例えば、長男、二男、長女が相続人の事案において、長男と二男だけで勝手に遺産分割協議を成立させたとしても、この遺産分割協議はそのすべてが無効となってしまいます。

では、このような場合はどうでしょうか。

父親が亡くなり、母親はすでに他界していたため、その相続人は子である自分(長男)と弟(二男)だけだと思っていました。

しかし、父の出生から死亡までの戸籍を取り寄せたところ、父には認知している子がいることが判明しました。

父からは生前にそのような話は聞かされていなかったため、寝耳に水でしたが、遺産分割をするには、父から認知された子も含めないといけないのでしょうか。

この問いに対する答えは、「含めなければならない」というものになります。

冒頭で述べた通り、たとえこのような場合であっても、相続人が一人でも欠けた状態でなされた遺産分割は無効となります。

では、相続人の中に、どこに住んでいるかが分からない人がいた場合はどうでしょうか。

その相続人の住民票を取り寄せてみたが、住民票上の住所に住んでいないことが判明し、その他にもどこに住んでいるのか分かる手掛かりがないというような場合です。

このような場合には、家庭裁判所に不在者財産管理人選任の申立てを行い、家庭裁判所の許可を得た上で、遺産分割協議を行うことになります。

したがって、たとえ一部の相続人がどこに住んでいるか分からないからといって、残りの相続人だけで勝手に遺産分割協議を行うことがないように注意が必要です。